古森病院@福岡市博多区です。
入院保証人のことがヤフー記事に上がっていたので
ロングステイ施設長としての見解を書こうと思います。
身寄りのない高齢者、転院できず苦慮 身元保証前提の慣習課題 静岡県内救急病院(静岡新聞DIGITAL) - Yahoo!ニュース
身寄りのない高齢者、転院できず苦慮 身元保証前提の慣習課題 静岡県内救急病院
救急医療を担う静岡県内の病院で身寄りのない入院患者の転院先を確保できず苦慮するケースが相次いでいる。身元保証のない患者の支払い能力を懸念し、受け入れを拒む療養型病院や介護施設の対応が背景にある。身寄りのない高齢者や単身世帯が増加する中、医療行為の同意や入院費回収などを含め、家族による身元保証を前提にした慣習の課題が県内の医療・介護現場で浮き彫りになっている。 「保証人はいるんですか?」。転院・退院手続きを支援する磐田市立総合病院医療ソーシャルワーカー増田由美さんは、転院先を探して別の病院や施設に問い合わせると、こう切り替えされることが珍しくないという。 ■拒否NGなのに… 救急車などで病院に運び込まれた患者は1カ月程で退院しリハビリや介護を担う別の施設を探さなければならないが、身寄りがなくて施設費用を支払う保証がない場合、受け入れる施設が少ない。低年金や認知症の高齢者だけでなく脳梗塞などで意思疎通できなくなった中高年が拒否されるケースもある。厚生労働省は通達で受け入れを求めるが、増田さんは「さまざまな理由を付けて拒否されるのが実態」と明かす。 県内の複数の病院関係者によると、金融機関から必要な金銭を引き出せず入院費が精算できない、死亡時に遺体の引き取り手がいないなどの課題もある。いずれも通常は親族がいれば問題ない作業。緊急入院の場合、着替えや生活用品がなくて病院職員が患者宅に取りに行く病院も。手術など医療行為や治療方針を決める際に訴訟リスクを意識して身寄りを探して同意を得たいと考える医師もいて、親族が見つからないと民生委員に連絡したり、夜中に行政職員やケアマネジャーを呼び出したりした事例もあるという。
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厚労省が入院入所費用の支払いが不確かな方の受け入れを求めるって言っても、
実際問題、長期施設はお世話の対価として、当然ながら 入院入所費用を払ってもらわないといけません。
厚労省に「たとえ患者さん利用者さんが入院入所費を支払わなくても、長期入院入所施設は受け入れて面倒見るべき」という資格などありませんし、実際言えないでしょう。
長期療養施設に入所される場合、ご本人には身体能力あるいは認知能力のいずれかあるいは両方が欠けていて、生活能力がないことが大半です。
となると、入院入所費用を支払っていただけない場合、
身元引受人がいれば、「じゃあ退院/退所してください」と交渉し、
身元引受人に費用を支払っていただいて入院入所継続するか、速やかに退院していただくかのいずれかになりますが、どなたもおられない場合には、生活能力のない方を路上に放り出すわけにもいかず(保護責任者遺棄)、かといってお金はもらえない。
生活保護の方ならまだソーシャルワーカーがついているので、仮に保証人がいなくても保護費用を施設払いにしていただくこともできますし、おうちの片付けなども市が何とかしてくれますが、
生活保護でない場合、ご本人にそこそこ年金はあるが、だれも保険料を支払ってなくて、無保険とかなると施設にとっては悲劇です(10割自己負担)。ご本人に意識があり、何とか理解力があれば まだ各種書類作成や保険料支払い等を代行できますが、ご本人に意識がなければ、さすがに地域包括支援センターに連絡し、市町村長申し立てか何かで後見人申請を行うことになるでしょう。しかし後見人は右から左には立ちませんので、結局数か月は施設にはお金が入らないことになります。
しかもそういう方は入院費用のみならず、いろんなものを滞納していることも少なくありません。自動引き落としにしていてくださればいいのですが、水道光熱費用、家賃費用、携帯電話費用、前医の入院費用・・・そうなると後見人が立ったところで、各種費用を支払うため、入院入所費用は後で・・と言って、結局全額頂けるかどうかわからない状況になります。
そのような状況なので、保証人がいない方は施設的には非常に警戒されるのが現状です。そのような社会福祉的調整を行う費用はそもそも入院入所費用に含まれていませんし、関係者は余分な仕事が増えますので、どっと疲れます。
しかし中には、どうしても医療施設でないと生命がつなげない人がおられ、当院ではやむなく通帳を緊急事務管理としてお預かりし(もっとも、暗証番号か印鑑がある方に限ります)、通帳管理をすることがあります。その場合は、一人ではお金がおろせないように複数人で通帳や印鑑、カードを管理し、月に1回管理人と事務の人で通帳をチェックし、年に1回 当院監事の弁護士さんに監査をしていただいております。
身寄りのない方はどうしたらいいのかということですが、まあ・・そうですね。
三士会(弁護士会、司法書士会、社会福祉士会)最近は行政書士さんもですが、法定後見人になれる職種はこの4職種みたいですから、よさげな人と任意後見契約を事前にしておくのが現実的でしょう。社協(社会福祉協議会)の制度を利用するというのも一つの選択肢だと思います。あとは 親戚付き合いをまめにしておくとかですかね・・当院でもご本人のごきょうだいや配偶者のご親族、ご本人の姪っ子さんとか甥っ子さんが金銭管理等していただいておられる方も少なからずおられます。お金をためておくと、ご親族が結構、面倒見てくれる傾向にあるような気がします・・(笑)。あまりに多いと争いごとになりかねず、過去に当院も巻き込まれて大変だったこともありますから、ほどほどにお願いします。笑。
参考になりましたら幸いです。
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